Base Ball Bear 光源を聞いて
3人体制になってからの初めてのアルバム。デビュー日に7thアルバムの発売。正直言って私は心からは喜べなかった。
私が知るBase Ball Bearは4人で、C2のような生音、同期なしの生バンドだからこそ好きだった。本当に好きだった。初めて好きになったロックだったから、ずっと大切にしたかった。そう陰ながら思っていたので、ベボベの存続が決まっても新しい音楽が出てしまうことが本当に怖かった。留学していたということもあるけれど、リリースの情報がファンクラブのメールマガジンが来た時にも読み流して、避け続けてきた。現実から目を背けた。
ただある人の記事を読んだ。
その記事の中に
「Base Ball Bearは常に変化していくバンドです。だからもしかしたら次に出る作品は貴方にとって好みじゃないかもしれない。それはそれで全然いいんです。でもやっぱり僕らは立ち止まらずに変化していくバンドだから、その次に出る作品は、また貴方に合うかもしれない。その時には、またよろしくお願いします。」
という小出さんのMCという内容を読んで、すべての曲がすべて受け入れられるわけじゃないけどもとりあえず買ってみよう。と注文した。
リリース日と同時に届いた。
本田翼とのMVの「すべては君のせいで」、私が下北で歌詞が完全にできていない状態で聞いた「逆バタフライエフェクト」。普段より構成曲数は短いけど、凝縮されていた。
でも正直なところ、まだ受け入れられない。聞こえてくる声も明らかに小出さんで。ますますかっこいいベースラインを魅せてくれる関根嬢も、堀くんがライブ中、全力の笑顔で叩いてくれるのも浮かんできた。目の前で流れる音楽が今のベボベなんだけどうまく咀嚼できなくて、ついにCD再生を止めようとした。
その時に流れたのがリアリティーズだった。
友達のいない教室の中で、イヤフォンを耳に突っ込んでTabibito In The Darkを聞いたのを思い出した。授業間の休みの15分もトイレへ行くか音楽聴くしか私にはしのぐ方法がなかった。そんな高校時代。
それから、図書館にリクエストして入れた『十七歳』。作詞の小出さんの学生時代のエピソードを読んだことを思い出した。
「いじめた人に椅子や机をぶつけたい気分でみんな死んじゃえ」、とか「音楽の世界で認められてるから、学校のクラスというカーストで認められないことなんてちっぽけに思えた」
なんて書いてあったかな。
リアリティーズにはそれが残ってた。
「傷つくのも 傷つけるのも 部屋が狭いからさ
どうでもいいことばかり 大切にしても」
とベボベがずっと歌い続けてきたことを伝えてくれた。その時、私は安心した。
いくらベボベの音が変わろうとも、彼らがやってることは一貫してる。何よりも3人になっても私たちに伝え続けてくれることは本当に嬉しいことだと実感した。
聞いても全ては受け止めきれない。でも音楽を聴いてそれを反芻するだけがリスナーの在り方ではないと思う。Twitterを追い続けて、一挙手一投足気にするんじゃなくて。常に聞かなくても、聴きたくなったらいつでも聞けるような、そんなリスナー。
全てのツアーに行けるわけじゃないけど、地元の近くに来たら、必ず行くリスナー。いつ地元に来るか楽しみにしてる、若い頃から好きでずっと応援している田舎にいるおばちゃんみたいな。
変化し続けるベボベの、次のアルバム楽しみです。コンセプトだけじゃなくて、音楽も適度に寄り添って。そんな音楽を待ちます。